短編ソフト ホラー・オカルト

ローラのかくれんぼ

  • 著:funyara9(滝川雅晴)
  • 作成日:2007/07/07
    • 魔法のiらんど ホラー/オカルト 2007/07/15付 注目作品

本編

 大草原に、大きな屋敷がありました。
 少女のサンドラは、家族と一緒に遊びに来ておりました。
 屋敷には、サンドラのおじいさんのコニーが住んでおりました。

「サンドラ、お友達が来たわよ」

 近所に住む子供達が、屋敷にやってきました。

「ねえ、かくれんぼをしよう」
「うん」
「いいよ」
「じゃあ、じゃんけんね」
「じゃんけん」
「ぽん!」
「じゃあ、ぼくが鬼」
「はじめ!」

 サンドラは、屋敷の離れの小屋に行きました。

「もういいかい」
「まあだだよ」


 サンドラは、小屋に入ると、棚の後ろに隠れました。

「ここにしようっと」

『そこじゃ、すぐに見つかるわよ』

 サンドラは、周りを見回しました。

『ここよ』

 樽の中から、声が聞こえました。
 サンドラは、樽に近づいて言いました。

「樽の中にいるの?」
『そうよ。わたしはローラっていうの。あなたは?』
「サンドラよ」
『この樽の後ろがいいわよ』
「わかったわ」

 サンドラは、樽の後ろに隠れて言いました。

「もういいよ!」


 しばらくすると、鬼の役の少年が、小屋に入って来ました。

「出てこーい!」

 少年は、小屋の中を探し終わると、出て行きました。

「ふうー、助かったわ」
『よかったわね』
「ローラ、ありがとう。 ねえ、あなたも出てきたら?」
『カールお兄ちゃんを待ってるから、だめなの』
「お兄ちゃんがいるの?」
『そうよ。カールお兄ちゃんが、悪い鬼が来るから、ぼくが来るまで、ここに隠れててって、言ってくれたの』
「あら、あなたもかくれんぼをやってるのね。 でも、その中で苦しくないの?」
『大丈夫よ。カールお兄ちゃんが、樽に穴を開けてくれたのよ。後ろを見てみて』

 サンドラは、樽の後ろの小さな穴を見ました。穴から白い服が見えました。

「ほんとね。ローラの服が見えたわ。カールお兄ちゃんは、やさしいのね」
『うふふ。 ねえ、サンドラ。わたし、のどがかわいたわ。甘い紅茶が欲しい』
「いいわよ、持ってきてあげるわ」


 サンドラは屋敷に戻ると、コニーに言いました。

「コニーおじいちゃん、甘い紅茶が飲みたい」
「いいよ。ちょっと待ってなさい」

 コニーはサンドラに、コップを渡しました。

「コニーおじいちゃん、ありがとう」

 サンドラは、屋敷の離れの小屋に行きました。

「ローラ、お紅茶持ってきたわよ」
『サンドラ、ありがとう』
「出てきたら?」
『カールお兄ちゃんが来るまではだめよ。 ねえ、サンドラ。この樽の蓋を、少し開けてくれない?』
「いいわよ。どうやって開けるの?」
『時計回りに回すのよ。でも、お願いがあるの。中を見ないで』
「いいわ。じゃあ、開けるわよ」

 サンドラは、樽の蓋を回して、少し開けました。


「これでいい? 見てないわよ」
『ありがとう。コップは蓋の上に置いて』
「置いたわ」
『これでいいわ。 ねえ、サンドラ。カールお兄ちゃんの事、だれか知らないかしら』
「そうねえ。コニーおじいちゃんに聞いてみようか」
『聞いてみて。 それから、わたしと一緒に、樽の中に入ってみない?』
「入れるの?」
『入れるわよ。 その代わり、目をつぶって入って欲しいの』

 サンドラは、樽をじっと見つめました。

「わたし、先にカールお兄ちゃんの事、聞いてくるわ」
『わかったわ』

 サンドラは屋敷に戻ると、コニーに言いました。

「コニーおじいちゃん、カールお兄ちゃんって知ってる?」
「カール? どうしてだい?」
「お友達のローラが、カールお兄ちゃんを待ってるの」
「どこで?」
「あそこの小屋よ」

 コニーは、小屋をじっと見つめました。

「カールお兄ちゃんは、もうすぐ帰って来るよ。 サンドラ、このバナナをローラにおあげなさい。ローラはもうすぐ家に帰るから、サンドラはすぐにここに戻ってらっしゃい」
「コニーおじいちゃん、わかったわ」


 その夜、コニーは明かりを持って、小屋に行きました。
 樽の上に、コップとバナナが置いてあるのが見えました。

「ローラ」

 コニーは、樽の蓋を回して開けました。

「ローラ、カールお兄ちゃんの所に行こう」

 コニーは、変わり果てた姿のローラを、タオルでやさしく包み、抱きしめました。
 コニーは、涙を流しながら言いました。

「お前を見つけられなくて、ごめんよ。 かわいいローラ・・・」


 三十年前、戦争がありました。

『ダダダ・・・』
「逃げろ!」

 むこうのほうから、敵の戦車と兵隊がやってきました。

 カールはローラの手を引いて、小屋に入りました。

「ローラ、かくれんぼだよ! この樽に入って!」
「うん」

 カールは樽の蓋をしめると、穴あけの道具で、樽の後ろに小さな穴を開きました。

「ローラ。悪い鬼が来るから、ぼくが来るまで、ここに隠れてるんだよ。すぐ来るからね!」
「お兄ちゃん、わかったわ」

 カールは外に出ると、走って屋敷に向かいました。

『ズドン』

 にぶい音が聞こえました。

 カールが逃げ込んだ屋敷から、煙がもうもうとたっておりました。


 コニーは、ローラを抱いて、屋敷の裏の墓地に行きました。
 墓の土を掘って、お棺の中にローラを入れました。

「ローラ、カールお兄ちゃんだよ。みんな一緒になれたね」

 コニーは、お棺の蓋をしめて、土を戻しました。

 次の日、サンドラはコニーに言いました。

「コニーおじいちゃん、ローラは帰ったの?」
「ああ、帰ったよ。カールお兄ちゃんが、迎えに来たよ」

 そう言うと、コニーはにっこりとほほえみながら、サンドラの頭をなでました。

≪完≫

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Last-modified: 2008-02-01 (金) 10:29:57 (3917d)

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