短編ソフト ホラー・オカルト

幸代の人形

  • 著:funyara9(滝川雅晴)
  • 作成日:2007/06/24
    • 魔法のiらんど ホラー/オカルト 2007/07/01付 注目作品

本編

 中学生の幸代は、背の低い女の子でした。
 幸代は、学校に向かって歩いておりました。

「チビ、おはよう!」

 背の高い男の子が、幸代に言いました。名前を祐太郎といいました。

「お早う・・・」
「そんなにゆっくり歩きでいいんか? 遅刻するぞ」
「わたし、とろいから・・・」
「じゃ、おれ先に行くよ。バイバイ」
「バイバイ」

 幸代は、祐太郎が好きでした。祐太郎は、学校中の人気者でした。


 休み時間になり、女の子達が集まって、話をしておりました。

「ちょっと、見た?」
「見た見た。裕子のやつ、祐太郎くんに、なんか手紙渡してたわ」
「それにさあ、ハートのマークのシールが貼ってたって!」
「それ、おもいっきりラブレターじゃん」
「くそーっ! わたしの祐太郎さまを取りやがって!」
「裕子は背か高いから、祐太郎くんとはお似合いだわ」
「ねえ、他に気になる男の子っている?」
「そうね、憲一くん! 顔はカバみたいだけど、体が大きし、たくましいのが好きだわ」
「わたしは弘之くん! やせてるし、眼鏡がかっこいいし、頭いいんだよね」
「わたしさあ、太ってる男の子、好きなんよ。あの幸節くん」
「アハハ! あんた、幸節くんに抱かれたら、つぶされるよ」
「アハハ!」

「幸代はだれが好きなの?」
「えっ? 私は別に・・・」
「言いなさいよ」
「・・・祐太郎くん」
「キャハハ! なあんだ、あんたも面食いねえ」
「幸代はその背、なんとかしなさいよ」
「なにかスポーツでもしたら? 背が伸びるかもよ」
「チビのままだと、一生もてないわよ」

 チャイムが鳴り、休み時間が終わりました。


 授業がはじまると、幸代は、鉛筆を強く握り締めておりました。

『馬鹿にしやがって・・・』

 幸代は、からかった女の子達を、じっとにらんでおりました。

『ポキッ』

 鉛筆は、真っ二つに割れました。

 学校が終わって、幸代は帰り道を歩いておりました。

 先のほうに、祐太郎と裕子の姿が見えました。
 祐太郎は、裕子の手を握りました。

 幸代は、思わず道を曲がって、遠回りの道を歩きました。カバンをぐっと、強く握り締めておりました。

『祐太郎くんを、取りやがって・・・』


 幸代は、古本屋に入りました。

『気晴らしになるような、楽しい本はないかしら』

 幸代は、古本屋の中を、うろうろと歩きました。
 ふと、1冊の本を見つめました。

『[あなたの願いが叶う!○魔術]か。これ、おもしろそうだわ』

 幸代は、その本を買って、家に帰りました。


 幸代は、部屋に入ると、その本を夢中になって読みました。

『[嫌いな人に呪いをかける方法]・・・』

 幸代は、人形を三つ、作っておりました。出来上がると、人形の体に、名前を書き込みました。
 幸代は、人形に針を刺しました。

『さと子は、手。 理恵は、足。 可南子は、頭・・・』


 次の日、幸代は学校に行きました。
 さと子と理恵と可南子は、学校に来ておりませんでした。

 先生が、朝の話をはじめました。

「えーっ、さと子さんと、理恵さんと、可南子さんは、怪我をしたと連絡がありました。しばらく学校を休むそうです」

 幸代は、ビクッと体を震わせました。

『呪いが、効いてる・・・』

 幸代は、気分が悪くなりました。

『さと子と理恵と可南子、大丈夫かしら・・・・』

 その日の夜、幸代は人形から、針を抜きました。


 幾日か過ぎた頃、さと子と理恵と可南子は、学校に来るようになりました。

 休み時間になり、幸代は、さと子と理恵と可南子に話かけました。

「さと子、その手の包帯はどうしたの?」
「あっ、これ? 走ってる自転車にぶつけられたのよ。もうだいぶ、治ったけどね」
「理恵、その足の包帯は?」
「犬にかまれたのよ。すっごい痛いわ」
「可南子、その頭の包帯は?」
「上から物が落ちてきたのよ。地震でもないのに、怖かったわ」

 幸代は、ほっとした顔をしました。

「よかったわ。そんなにひどい怪我でなくて」
「幸代に心配されるなんてね」
「ひどい怪我よ!もうこりごり」
「ねえ、幸代。あとで勉強教えて。しばらく休んだからさあ、追いつけなくって」

 学校が終わって、幸代は帰り道を歩いておりました。

 先のほうに、祐太郎と裕子の姿が見えました。
 二人は、手を握って話しながら、楽しそうに歩いておりました。


 その日の夜、幸代は人形を、一つ作っておりました。出来上がると、人形の体に、名前を書き込みました。
 幸代は、人形に針を刺しました。

『裕子は、手。 足。 頭・・・』

 次の日、学校の休み時間になり、女の子達が集まって、話をしておりました。

「ちょっと、聞いた?」
「聞いた。裕子のやつ、大怪我で休みだって」

 幸代は、ビクッと体を震わせました。

「幸代、何びびってんのよ」
「幸代。あんた、背、縮んだ?」
「なんかさあ、せむし女みたいよ」
「顔つき変よ。ちょっと不気味」

 幸代は、トイレに行って、鏡を見ました。

『・・・確かに、顔がゆがんでるわ。背中が重い・・・』


 次の日、学校の休み時間になり、女の子達が集まって、話をしておりました。

「ちょっと、聞いた?」
「聞いた。祐太郎くんが、学校をしばらく休むんでしょ」
「そうそう。どうやら、裕子の為みたいよ。お見舞いとか、看病とかするんじゃない?」
「ああ、二人の愛は本物だわ。 あ〜、せつない」
「わたしも学校、休もうかな」
「なんで?」
「祐太郎くんを付け回すの。裕子の所に行かせないようにね」
「あはは! ばーか。祐太郎くんに嫌われるだけよ」

 学校が終わると、幸代は、金物屋に行きました。
 幸代は、分厚いハサミを手にとって、確かめました。

『よく切れそうだわ』

 幸代は、分厚いハサミを買って、家に帰りました。


 家に着いて、部屋に入りました。
 幸代は、ビクッと体を震わせました。

『・・・うそ!・・・』

 机に隠していた四つの人形が、なくなっていました。

『・・・どこ?・・・』

 幸代は、部屋中を探し回りました。
 ふとんをはがすと、そこに四つの人形がありました。

「きゃっ!・・・」

『・・・まさか、呪い返し?・・・』

 幸代は、震えながら、四つの人形をばらばらにしました。
 そして、本と一緒に、ビニールの袋に入れて、ごみ箱に捨てました。

 その日の夜、幸代は部屋を出て、母に言いました。

「お母さん!」
「何?」
「今日さ、一緒に寝てくれない?」
「あら、めずらしい。いいわよ。どうしたん?」
「今日は自分の部屋で、寝たくないの」

 その日の夜、幸代は母のふとんの中で眠りました。
 母は、幸代をぎゅっと抱きしめました。


 それから、幸代は人形の事を忘れ、学校を卒業し、幾年かが過ぎていきました。
 やがて、結婚をして、子供が産まれました。

 ある日、幸代は娘の由香里に言いました。

「由香里。あなた最近、元気ないわね」
「・・・何でもないわ」
「嫌な事があったら、お母さんに何でも言いなさいよ」
「・・・」

 由香里が学校に行くと、幸代は由香里の部屋に入りました。
 幸代は、由香里の机の引き出しを、ゆっくりと開けました。

『・・・よかった。思い過ごしだわ』

 幸代は、机の本棚から本を一つ、取り出しました。

『・・・最近の教科書は、読みやすいわね』


 幸代は、本棚に本をしまおうとしました。

 幸代は、ビクッと体を震わせました。

『・・・まさか』

 本棚の後ろを見ると、二つの人形がありました。幸代は、おそるおそる、人形を取り出しました。

『・・・ああ、この子も・・・』

 人形には、人の名前が書いてありました。
 手や足に、画鋲がささっておりました。

 幸代は、本棚の本を、端から取り出して、ぱらぱらと読みました。

 幸代は、ビクッと体を震わせました。

『[あなたの願いが叶う!○魔術]・・・』

 その本には、学校の参考書のカバーが、かけられておりました。

 幸代は人形から画鋲をはずすと、ふとんの中に入れました。
 そして、本棚の本を、元通りに直しました。


 その日の夜、由香里は部屋を出て、幸代に言いました。

「お母さん!」
「何?」
「今日さ、一緒に寝てくれない?」
「あら、めずらしいわね。いいわよ。どうしたの?」
「今日は自分の部屋で、寝たくないの」

 その日の夜、由香里は幸代のふとんの中で眠りました。
 幸代は、由香里をぎゅっと抱きしめました。
 幸代は、由香里の頭をなでながら、泣いておりました。

『・・・お母さん・・・』


「行ってきます」

 次の日、由香里は学校に行きました。

 幸代は、由香里の部屋に入りました。

 ふとんを開くと、人形がなくなっておりました。

 本棚の後ろをのぞくと、何もありませんでした。

 ごみ箱を見ると、ビニール袋につつまれたものがありました。触ると、一冊の本と、ふわふわとしたものが入っておりました。


 幸代は、実家に住む母に電話をしました。

「お母さん」
「何?」
「・・・ありがとう・・・・・・」

「・・・・・・お前が立派な大人になって、ほーんと、うれしいよ。かわいい由香里もいるしね。わたしゃあ、安心して、死んだじっちゃんの所に行けるわよ、アハハ」
「お母さん。今度、由香里を連れて、遊びに行きますね」
「いいよ。日が決まったら、早く連絡をちょうだい」

 幸代は、電話を切ると、夕飯の支度を始めました。

≪完≫

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Last-modified: 2008-02-01 (金) 10:34:02 (4246d)

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