短編SF

ノロのロボット

  • 著:funyara9(滝川雅晴)
  • 作成日:2007/06/30
    • 魔法のiらんど SF 2007/07/08付 注目作品

本編

 フンドの町に、シアという男がおりました。シアは、新聞を読んでおりました。

「む?」

 新聞の小さな記事を、じっと見つめておりました。

『ノロ青年、会話ロボットを開発』

 次の日、シアはノロの家に行きました。

「こんにちは」
「はい」
「あー、ノロさん! はじめまして、私はシアといいます。こんな会社をやっています」

 シアはノロに名刺を渡しました。

『レビヌ会社 新興産業・・・』

「はあ・・・」
「実は、新聞であなたの記事を見ました。とても興味がありますので、是非、会話ロボットを見せて頂けませんでしょうか」
「ああ、そうですか。わかりました。どうぞ」

 ノロは、ロボットのスイッチを入れました。

「では、あなたの声で『オルガ』と言って下さい」
「わかりました。では、オルガ」


『はじめまして』

 ロボットが話しはじめました。

「ああ、はじめまして。何か話せますか?」
『話せますわ。私は、会話ロボットのオルガ一号です。あなたのお名前は?』
「シアといいます。いい声ですね」
『ありがとうございます。ご主人様。あなたの声を記憶しました』
「ああ、どうも。オルガさんは、何が出来るのですか?」
『そうですね。世間話とか、歌う事とか、音楽を鳴らす事が出来ますわ』
「それはすばらしい。では、ヴィヴァルディの『春』は鳴らせますか?」
『ええ。それでは始めますね』

 ロボットの体が開きました。
 体の中に、小さなピアノやトランペットや、ヴァイオリンやフルートが並んでおりました。

『♪♪♪♪・・・』

「・・・おお!」


 シアは、ノロに近づいて言いました。

「これは素晴らしい! ノロさん、わたしとビジネスをしませんか?」
「えっ?」
「わたしは売るのが得意です。あなたのロボットを売って、もうけた金の九割を、あなたに持ってきますよ」
「はあ。これは、趣味で作ったのですが、売れるんですかねえ」
「まかしてください!この道のプロですから」
「はあ」
「ところで、売りに出す前に、見本として五台は必要です。ノロさん、五台を作って頂けませんでしょうか」
「ああ、いいですよ。時間がかかりますので、来月でもいいですか?」
「ええ、いいですとも。それでは来月に、また来ますね」

 それから一ヵ月後、シアはノロの家に行きました。

「ノロさん、出来ましたか?」
「できました」
「おお、素晴らしい! それでは、預かっていきますね。注文がたくさん来ますから、待っててくださいね」
「はい」


 シアは、五台のロボットを車に積んで、フンド市に行きました。
 ビルの会場を借りると、ロボットを運んでいきました。

 次の日、シアはビルの会場で、会話ロボットの展示会を開きました。

「さあ、見て下さい! レビヌ社が送る、素晴らしい会話ロボットです。あなたの人生の、素晴らしいパートナーになりますよ! それでは、実演いたしましょう」

 シアは、ロボットのスイッチを入れました。

「オルガ」

『はじめまして』

 ロボットが話しはじめました。

「オルガ。君の名前は?」

『私は、会話ロボットのオルガ三号です。あなたのお名前は?』
「シアといいます」
『ご主人様。あなたの声を記憶しました』
「オルガ、世間話や音楽を鳴らす事が出来ますよね」
『ええ、できますわ』
「では、ショパンの『革命』は鳴らせますか?」
『ええ。それでは始めますね』


 ロボットの体が開きました。
 体の中に、小さなピアノやトランペットや、ヴァイオリンやフルートが並んでおりました。

『♪♪♪♪・・・』

「おお!」
「すごい!」

「さあ、どうです皆さん! この素晴らしい会話ロボットは、何と五台しかありません! 皆様に広く手に入れてもらいたいですので、これからオークションを始めようと思います」

「一万ドラ!」
「二万ドラ!」
「五万ドラ!」
「二十万ドラ!」
「五十万ドラ!」

「五十万ドラ、それ以上の入札はありますか? ・・・ それでは、あなたが落札です!」


 日が暮れると、シアはビルの会場を片付けて、お金を数えておりました。

「うひゃっひゃっひゃ!」

 それから数ヶ月後、シアに電話がかかってきました。

「はい、レビヌ社です」
「ちょっと、どういうことなんです?」
「はい?」
「この間、ロボットの動きが止まって、『メンテナンスが必要です。ノロに連絡を下さい。連絡先はXXX』って出たんで、ノロさんに電話したら、見本品だから直せないって言われたわよ!」
「ああ、申し訳けございません。すぐに伺って、修理させますので」


 シアは、五台のロボットを持って、ノロの家に行きました。

「ノロさん!」
「・・・」
「いやあ、お久しぶりですねえ、ハハハ。いや実はね、見本品を試しに使ってもらってたら、電話があったかと思うんですが、修理が必要みたいなんですね。それで、修理をお願いできますか?」
「いやですね」
「ハハハ。もちろん、お金は出しますよ。これでどうですか?」
「いや、できませんね。電話では、ロボットは高い金で買ったと言ってましたよ。とにかく、見本のロボットは返して下さい」
「まあ、そこをなんとか・・・」

『バタン』

 シアは、ノロの家から追い出されました。

 それから、レビヌ社は潰れて、シアは牢屋に入りました。

≪完≫

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Last-modified: 2008-02-01 (金) 10:19:37 (4246d)

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