短編童話

トランプの王様

  • 著:funyara9(滝川雅晴)
  • 作成日:2007/06/10
    • 魔法のiらんど 童話/絵本 2007/06/17付 注目作品

本編

 ある国に、トランプの大好きな王様がおりました。
 大きな国の王様だというのに、朝から晩までトランプをしておりました。
 王様の部屋には、トランプの好きなあやしいお客が、ひっきりなしに来ておりました。
 王様は、お客をもてなして言いました。

「ようこそ諸君。今日も夜が明けるまで、楽しいゲームをしようじゃないか! 食べ物と飲み物は、たんと用意してあるから、食べて飲んで、楽しくやろう」
「トランプの王様、バンザイ!」
 あやしい三人のお客は、パチパチと、手をたたいて喜びました。

 王様と三人のお客は、四角い机に座りました。そして、王様は得意げに、トランプのカードを手で切り混ぜました。
「じゃあ、始めよう」
 王様は得意げに、トランプのカードを四人の前に配りました。

「ああ、また始まった」
 お城の中の召し使い達は、ため息をつきました。
「これでまた、朝まで食べ物と飲み物を出し続けることになったわね。ああ、今夜も家に帰れないわ」

 王様のトランプは、ニワトリが鳴く頃に、ようやく終わりました。


 次の日の朝、大臣がやってきて言いました。
「王様、王様」
「うがあ、なんだね。まだ、寝ているというのに」
「お休みの所、もうしわけございません。実は、北の村で、火事が起きております。いかがいたしましょうか」
「ううん、それでは大臣、何とかそれを、もみ消してくれい」
「王様、かしこまりました。それで、火を消すためのお水は、いかがいたしましょうか」
「ううん、それでは大臣、召し使い達を起こして、お城のお水を運びなさい」
「王様、かしこまりました。それで、お水を運ぶには、いかがいたしましょうか」
「ううん、それでは大臣、兵隊達を起こして、馬に乗せて運びなさい」
「王様、かしこまりました。それでは、行ってまいります」

 大臣は、召し使い達を起こして、お城のお水を運びました。
 そして、兵隊達を起こして、お城のお水を馬に乗せて、運びました。

 北の村に着くと、大臣も召し使い達も兵隊達も、汗だくになって、水をまいて、火を消しました。日が暮れる頃、ようやく火事がおさまりました。

 大臣と召し使い達と兵隊達は、くたくたになってお城に帰りました。

 すると王様が、お城から出てきて言いました。
「これこれ大臣。いったいどこに行っていたのかね。今夜もトランプのお客が来るから、いつもの準備を頼むよ」
「王様、かしこまりました」


 夜がふけると、王様の部屋には、トランプの好きなあやしいお客が、ひっきりなしに来ておりました。
 王様は、お客をもてなして言いました。
「ようこそ諸君。今日も夜が明けるまで、楽しいゲームをしようじゃないか! 食べ物と飲み物は、たんと用意してあるから、食べて飲んで、楽しくやろう」
「トランプの王様、バンザイ!」
 あやしい三人のお客は、パチパチと、手をたたいて喜びました。

 王様と三人のお客は、四角い机に座ると、いつものようにトランプのゲームを始めました。

 しばらくすると、大臣がやって来て言いました。
「王様、王様」
「なんだね。今、大事な所なんだぞ」
「お楽しみの所、もうしわけございません。実は、召し使いの者が三人、倒れました。人手が足りません。いかがいたしましょうか」
「ううん、それでは大臣、代わりの者を探してきなさい。ところで、大臣。君はいったい、どういう人の使い方をしているのかね? 君にはしっかりしてもらわないと、とても困るよ」
「王様、かしこまりました。それで、代わりの者は、どこで探しましょうか」
「ううん、それでは大臣、村に行って、召し使いを探しなさい。王の命令だと言ってな」
「王様、かしこまりました」

 大臣は、村の者を起こして、召し使いをするように、お願いに回りました。ですが、誰も召し使いになろうとしませんでした。


 次の日の朝、大臣がやってきて言いました。
「王様、王様」
「うがあ、なんだね。まだ、寝ているというのに」
「お休みの所、もうしわけございません。実は、昨日の夜から、召し使いを探していたのですが、一人も見つかりませんでした」
「ううん、大臣、君はいったい、何をやっているのかね。それじゃあ、今夜もトランプのお客が来るから、君が食べ物と飲み物を作りなさい」
「王様、かしこまりました」

 夜がふけると、王様の部屋には、トランプの好きなあやしいお客が、ひっきりなしに来ておりました。
 王様は、お客をもてなして言いました。
「ようこそ諸君。今日も夜が明けるまで、楽しいゲームをしようじゃないか! 食べ物と飲み物は、たんと用意してあるから、食べて飲んで、楽しくやろう」
「トランプの王様、バンザイ!」
 あやしい三人のお客は、パチパチと、手をたたいて喜びました。

 王様と三人のお客は、四角い机に座ると、いつものようにトランプのゲームを始めました。


 次の日の朝、大臣がやってきて言いました。
「王様、王様」
「うがあ、うるさいなあ。まだ、寝ているというのに」
「お休みの所、もうしわけございません。実は、お別れをしに来ました」
「ううん、大臣、君はいったい、何を言っているのかね」
「王様。私と召し使いと兵隊と村人は、みんなもう疲れてしまいました。それで、私達は、この国から出て行きます」
「今夜もトランプのお客が来るというのに、いったいどうしてくれるんだね」
「私はもう、王様に仕えるつもりはありません。あとはご自分で、好きなようになさって下さい。さようなら」

 大臣は、召し使いと兵隊と村人を連れて、お城から出て行きました。

「まったく、たよりのない連中だな。明日になったら、隣の国から、召し使いと兵隊を雇うことにしよう」
 そう言うと、王様はたった一人で、食べ物と飲み物を作りました。


 夜がふけると、王様の部屋には、トランプの好きなあやしいお客が、ひっきりなしに来ておりました。
 王様は、お客をもてなして言いました。
「ようこそ諸君。今日も夜が明けるまで、楽しいゲームをしようじゃないか! 食べ物と飲み物は、たんと用意してあるから、食べて飲んで、楽しくやろう」
「トランプの王様、バンザイ!」
 あやしい三人のお客は、パチパチと、手をたたいて喜びました。

 王様と三人のお客は、四角い机に座ると、いつものようにトランプのゲームを始めました。

 しばらくすると、城の外から、馬の鳴き声が聞こえてきました。

 王様は、城の窓から外をのぞきました。すると、隣の国の兵隊が、城を囲んでおりました。
「やや! これは、もしかすると、戦争ではないか!」

 突然、ラッパが鳴りました。すると、隣の国の兵隊は、お城に向かって行進して来ました。

「ああ、こんな時に、大臣と兵隊がいてくれたら・・・」

 まもなく、王様のお城は、火に包まれて燃えてしましました。

≪完≫

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Last-modified: 2008-02-01 (金) 09:37:01 (4979d)

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