[[短編童話]] *恥ずかしがり屋のパティ [#haa92def] -著:funyara9(滝川雅晴) -作成日:2008/11/17 *本編 [#zd11d016] 女の子のパティは、とても恥ずかしがり屋でした。 ある日、お友達のライラライが、パティの家にやってきました。 「ねえ、みんなで食べに行こうよ」 「・・・」 「行くよ!」 ライラライは、パティの手を取りました。 パティは下を向いて、だまってライラライについて行きました。 店に着くと、ライラライのお友達がたくさん来ておりました。 「ライラライ、お久しぶり!」 「お久しぶりね!あら、ポコったら、ちょっと素敵な髪型じゃない!」 「アハハ、そう?ありがとう!」 #hr パティはコップをずっと口につけながら、みんなの話を聞いていました。 「ねえパティ。最近何か、おもしろい事はあった?」 パティは顔を真っ赤にしながら言いました。 「・・・別に、何もないわ」 「アハハ、パティに聞くのが間違いよ。この子、何もしゃべらないんだから」 それから、パティは下を向いて、だまってみんなの話を聞いていました。 ライラライは、パティの背中を触って言いました。 「パティ、気にしなくてもいいのよ。そのうち慣れるから」 #hr パティは家に帰ると、おふとんの中で泣いておりました。 『私はなんにも魅力がない子。もうみんなで食べになんか、行きたくないわ』 ひと月が過ぎた頃、お友達のライラライが、パティの家にやってきました。 「ねえ、みんなで食べに行こうよ」 「・・・」 「行くよ!」 ライラライは、パティの手を取りました。 パティは手をほどいて、首を横に振りました。 「パティ、どうしたの?元気がないわね。具合が悪いの?」 パティは首を縦に振りました。 「そう、わかったわ。じゃあね」 ライラライは、そう言うと去って行きました。 #hr ある日の朝、パティは目が覚めると、小鳥が窓に止まっておりました。 『あら、かわいい小鳥だこと』 パティは、小鳥に向かってそっと手を伸ばしました。 『パタパタパタ・・・』 小鳥は窓から飛び去って行きました。 小鳥は森に向かって飛んで行きました。 パティは小鳥に会いたくなって、家を出ると森に行きました。 『あら、見つけた!』 小鳥はつがいになって、巣の周りを飛んでおりました。 巣には二匹のひなが鳴いておりました。 パティはうれしくなって、じっと小鳥と巣のひなを見つめておりました。 #hr 次の日、パティはまた森に行きました。 『あら、見つけた!』 パティはうれしくなって、じっと小鳥と巣のひなを見つめておりました。 すると、見知らぬ男の子が近づいてきました。 パティはびっくりして、逃げようとしました。 男の子は、パティに手紙を渡しました。 パティはさらにびっくりして、家に逃げて帰りました。 #hr 家に帰ると、パティはおそるおそる、手紙を開けました。 開けると、二枚の紙が入っておりました。 一枚目の紙には、小鳥を見ているパティの絵が描かれておりました。 二枚目の紙には、字が書かれておりました。 『突然のお手紙をお許し下さい。 僕の名前はタタ。 あなたを森で見かけて、お友達になりたいと思いました。 よかったら、お友達になってくれるとうれしいです。 タタより』 #hr 次の日、パティは家を出ると、おそるおそる森に向かいました。 パティは小鳥の巣のそばに来ると、あたりを見渡しました。 すると、タタが歩いてやってきました。 パティはびっくりして、逃げようとしました。 タタはにっこりと笑って、パティに手を振りました。 パティはそれを見て、立ち止まりました。 パティはタタに言いました。 「・・・私は別に、おもしろくない子よ」 #hr タタは、ポケットから紙を出すと、何かを書いてパティに渡しました。 『僕は生まれつき、声が出ません。 こんな僕でよかったら、お友達になってくれるとうれしいです。 あなたの名前は?』 パティは少し驚いて、タタに言いました。 「・・・私の名はパティ。でも、どうして私なんかと?」 タタは、紙に書いてパティに渡しました。 『ありのままのあなたを見て、とても素敵と思いました』 パティは顔を真っ赤にして、タタに言いました。 「そんな・・・ 私はとても恥ずかしがり屋で、みんなからは、つまらない子と思われているのよ」 タタは、紙に書いてパティに渡しました。 『そんな所も、とても素敵です』 それから、パティとタタはとても仲良しになりました。 #hr ひと月が過ぎた頃、お友達のライラライが、パティの家にやってきました。 「ねえ、みんなで食べに行こうよ」 「あら、ライラライ!ええ、行くわ!」 ライラライは、びっくりしてパティに言いました。 「あなた、いつもと違うわね」 店に着くと、ライラライのお友達がたくさん来ておりました。 「ライラライ、お久しぶり!」 「あら、パティ!どうしたの?素敵な髪型じゃない!」 パティはにこにこしながら、みんなに話しました。 「これはね、ボーイフレンドのタタに整えてもらったのよ」 「まあ、パティったら、いつの間に!やるわねえ、アハハ」 「ねえ、今度タタを連れて来てもいい?」 「もちろんよ!見たい見たい!」 「ねえ、どうやって知り合ったの?」 この日は、パティが主役でした。 それから、パティはいつの間にか、恥ずかしがり屋ではなくなりました。 CENTER:''≪完≫'' #navi(短編童話) #back(戻る,center,0) 感想等の書き込みをお待ちしております。 下記の掲示板で自由に書き込みが出来ます。 #article